美紗が小さな舌打ちをするのを聞き逃さなかったボクも純平も、そのあまりにも彼女に不釣り合いな態度に思わず二度見してしまう。

先輩だけが気にせずに、中央に置かれたクッキーボックスをそっと手元に引き寄せた。


「もらっていい? なお」


完全に身体をこちらへ向けてそう言う先輩は、まるでこの空間から彼自身とボクだけを切り取ろうとしているみたいで。

一瞬だけ2人きりになったような錯覚に惑わされそうになるけど……、違う。


「どうぞ」

笑い返したつもりだけど、ぎこちなかったかも知れない。


対面にいる2人の顔が、なんだか怖くて見れなかった。