響先輩にしては子供っぽいその仕草に、つい可愛いと思ってしまう。

一体何ですか?
その表情、その仕草。


視線が絡んだのはほんの一瞬で、そのままスーッと、彼の焦点が横にスライドしていった。

その先に待ち構えるは、ボクのクッキーが入った紙袋だ。


「――待ちきれない」

……ッ!


その、危うく吹き出してしまいそうなくらいに甘えた掠れる低音ヴォイスに、軽く目眩を覚える。

しっかりした大人で、優しくて頭が良くて穏やかで。
そのイメージに反する、たまに出てくるこの子供っぽい甘えた先輩が、ボクのペースを乱す。


一体、どっちがホンモノなんだろう。