肩を落とした先輩は、小さく「両刀って……」と漏らしている。

それを観察するようにじっと見ながら、必死で頭を巡らしている内にようやく気付いた。
ボクに告った男は、この人が初めてだということに。


――『僕は君が男なら告白なんてしない』――


マジか、ガチか。

ガチの両刀じゃないってことは。
ボクが女だって分かって言ってるってことは?


答えは簡単だ。
この人、マジで【マジ】。


「す、みません……ガチの方かと」

口走ってから、謝るのはそこじゃないと気付く。
って言うか、ガチってなんだよ!


ドツボだ。
どうすりゃいいんだ、こういう時。

ああ、純平でも、美紗でも、どっちでもいいから助けに来てよ!