今月中に免許を取って卒業式を迎えて、そして来月になったら――、
その先に思考が及ばず、諦めて、車を運転する先輩の姿を想像する。
「先輩、車持ってるんですか?」
「まさか! 免許もないのに?」
そう言って目を細めて笑う先輩が本当に楽しそうだったから、ボクは、つまらない質問をするきっかけを失った。
不意に訪れた2人きりの時間。
ここで一緒に過ごす、最後の日。
最後だから……彼が楽しいと思っているのなら、そのまま、楽しんでもらいたい。
彼の告白に良い返事が出来るわけでもないのにそう思ってしまうのは、ボクの身勝手だろうか。
「まあ、こっちにいる間は家の車借りて練習するかな。……免許取ったら、一緒にドライブ行く?」
珍しい、積極的なアプローチだった。
だけどそれは、冗談まじりだ。
今のところの、ボクと先輩の距離にふさわしい言い方だった。
その先に思考が及ばず、諦めて、車を運転する先輩の姿を想像する。
「先輩、車持ってるんですか?」
「まさか! 免許もないのに?」
そう言って目を細めて笑う先輩が本当に楽しそうだったから、ボクは、つまらない質問をするきっかけを失った。
不意に訪れた2人きりの時間。
ここで一緒に過ごす、最後の日。
最後だから……彼が楽しいと思っているのなら、そのまま、楽しんでもらいたい。
彼の告白に良い返事が出来るわけでもないのにそう思ってしまうのは、ボクの身勝手だろうか。
「まあ、こっちにいる間は家の車借りて練習するかな。……免許取ったら、一緒にドライブ行く?」
珍しい、積極的なアプローチだった。
だけどそれは、冗談まじりだ。
今のところの、ボクと先輩の距離にふさわしい言い方だった。