空気を変えるために立ち上がった先輩の行動の先には特に続く動作があったわけではなく、彼はボクの返事を待つ前に再び椅子に腰を下ろした。
その行動か話題のチョイスに失敗したと気が付いたのか、先輩は少し俯いて唇を噛み、軽く頭を掻いている。
「ヤバい、ですよ。……昨日はコレで、時間取れなかったし」
せっかく先輩が与えてくれた沈黙の突破口に飛びつくしかなかったボクが紙袋に入ったクッキーを指差すと、彼は申し訳なさそうに眉を下げた。
「そうか……。忙しい時期だったよね。負担だったね」
「別に先輩のせいじゃ……」
――先輩だけのために作ったわけでは、ないのに。
とは、言いたくなかった。
「勉強、遅れちゃった?」
「いや、まあ、それは元々なんで」
苦笑いを浮かべると、先輩は昨日と同じことを言った。
「分からないところがあったら、僕が教えるよ」
その行動か話題のチョイスに失敗したと気が付いたのか、先輩は少し俯いて唇を噛み、軽く頭を掻いている。
「ヤバい、ですよ。……昨日はコレで、時間取れなかったし」
せっかく先輩が与えてくれた沈黙の突破口に飛びつくしかなかったボクが紙袋に入ったクッキーを指差すと、彼は申し訳なさそうに眉を下げた。
「そうか……。忙しい時期だったよね。負担だったね」
「別に先輩のせいじゃ……」
――先輩だけのために作ったわけでは、ないのに。
とは、言いたくなかった。
「勉強、遅れちゃった?」
「いや、まあ、それは元々なんで」
苦笑いを浮かべると、先輩は昨日と同じことを言った。
「分からないところがあったら、僕が教えるよ」