「あの、ですね、先輩」

待っていても頭が上がる気配はないし、話が進まない。
(このまま頭頂部に食らいつくような変態ぶりを晒すのもごめんだ)


急がないと、ここで足止めを食らっているうちにサッカー部の練習が終わってしまうし。
そうなったら、美紗と純平に置いて行かれちゃうかもしれない。
バシッとサクッと言って、さっさと終わりにしてしまおう。


「ボク、女なんですけど」

「――……へっ?」

「……ぶはっ!」


生徒会長のあまりの間抜け面と声。
油断してたから、思わず吹き出した。


「すみません。こんなナリでこんな言葉使いだから、よく間違えられるんですけど」

金魚みたいに口をパクパクさせる会長が何も言わない(言えない?)から、ボクは先を続ける。

「ちゃんと女の子と付き合ってたくせに――両刀使いなんすね、先輩」

「いや、ちょっ、待って! えっ? ちょっ……」