廊下に出ても声をかけたそうな目をした女子が何人かつらつらと後をついてきていたが、結局彼女たちが近寄ってくることはなかった。
先陣を切って特攻し純平に瞬殺されていった同志たちの姿を見て、怯んでいたのかもしれない。


特別教室が並ぶ別館まで来るとさすがに人気も少なくなり、生徒会室の前まで辿り着くと、先頭を歩いていた純平はドアを開けずに足を止めた。


「ホレ、なお」

スポーツバッグの中から、紙袋を取り出し差し出してくる。

「助かった。ありがと」


――教室からここに来るまでに一言も会話を交わしていなかったことに、今になってようやく気付いた。