あの中に、きっと、ある。
美紗が【一番大切な人】に想いを込めたチョコレートが。


――昼休みに動くってことはやっぱり、相手は純平なんだ。
最早それは、ボクの中では疑いようのない事実に変わっていた。


壊さないように、つぶさないように、そっと大事にコートのポケットに入れていたクマは日の目を見ることなく御役御免になりそうだった。

アイツのおかげで今朝はポケットに手を入れられなかった。
今日がこんな暖かい日でなかったら、ちょっとだけ恨むところだ。


コートをしまっているロッカーを一瞥してから、ボクも2人に続いて教室を出た。


なんてことない。
純平が傷つかなくて済みますように――。
ボクの祈りが通じた、ただそれだけだ。