純平はアホなフリをして、ボクが荷物を頼もうとしたことから、無理やり話を逸らそうとしていた。
何か言いたげな素振りで、不自然に空を仰いでいる。


「……持つの、やなの?」

「てか……」

ボソッと呟いた彼は、不機嫌そうにごにょごにょと言葉を続ける。

「俺のカバンからソレが出てきたら、半減だろうが」


――ナニガ?

を、ボクはぎりぎりで踏みとどめた。


「つーか泣いちゃうかも知れねーよあの人」


響先輩のことだ。
……さすがに泣きはしないだろうが。


「……生徒会室の手前まででいいから」

そういうとようやく、渋る純平の手に、紙袋が渡った。


美紗は黙ってボクたちのやり取りを見ていた。

――どことなく、物憂げな表情を浮かべながら。