何に使うつもりなのか全く分からないが、母がボール紙を大事にコレクションしている。
その中から使えそうなものを選んで、ハサミで切ってクマの台紙を作った。

台紙にクマを乗せて耳がもげたりしないようにしっかりガードしてから、それをラップで包む。


「ちょっと、ずいぶんなラッピングね」

「いいんだよ、どうせ純平なんだから」

「色気がないんだから」

「いらないでしょ、純平相手に」


まあ、確かに……という母の呟きは、純平の名誉のために、聞かなかったことにした。


純平がもしフラれたら、ボクが【コレ】で慰めてやろう。

子供の工作みたいな無骨な包みは、ボクらしさが色濃く出ていてアイツも喜ぶに違いない。
――ん?
いや、喜ぶかどうかはともかくとして、楽しんではくれるに違いない。