問題はそのヒビがどう見ても

「……ヤクザ者にしか見えない」

ってコトだ。
口全開で笑ったヤクザのクマ。


――面白すぎる。


ヒビを見つけた時の驚きと沈黙が去ってじわじわとそのクマの愛嬌に打ちのめされたボクたちは、声をあげて笑った。


「ちょっとコレ、純平くんに似てるわね」

目尻に浮かんだ涙を拭いながら母が言ったから、収まりかけた笑いがまたぶり返す。

言われてみれば、焼いてる間に一旦チョコレートが溶けて歪んだんだろう目つきの悪さも、全開の口で笑う様子も、純平にそっくりだった。


決めた。
これは、純平にあげよう。


――アイツが明日、もしフラれたら。