少しだけ溶けたチョコが混じった生地を、平べったく形成する。

こんなことは美紗の前では口が裂けても言っちゃいけないけど、ちょっとだけ子供の頃の粘土遊びを思い出した。
丸く出来上がった生地に、さらに微量の生地を集めてもっと小さな丸を2つくっつける。


「……クマ?」

と、じっと見ていた母さんが聞いてくる。

まあ、クマでもパンダでも犬でも猫でも、なんでもいいや。
なんとなく動物の顔に見えなくもないソレを、鉄板の端に一緒に並べる。

最後にチョコチップを2つ押し付ける様にしてそれにくっつけると、うまいこと顔が完成した。


ボクのウキウキが伝染した母が、ニヤリと笑って爪楊枝を手渡してくる。

「表情つけようよ」


その楊枝で、口を描いた。
クマらしきものが、デカい口を全開にして笑った。


「よっし!焼こう!」