そして決戦の時は訪れた――。


なんて、大げさだ。
だけどそれくらいの意気込みで、ボクはキッチンに立った。

約束通り母は準備しておいてくれたようだ。
卵とバターがカウンターに並び室温に戻っているのを見て、母へ笑いかける。


卵は必要以上に用意されていた。
馬鹿にしやがって。


……とは思わず、ここは素直に感謝するところ。
ボクの卵割りの成功率は練習の結果多少上がりはしたが、それでも6割程度と頼りないものだから。

きっと今日も、じゃりじゃりした卵料理が食卓に並ぶことになるのだろう。