「前々から思っていたんですけど」

と、美紗は弁当を開けるなり刺々しい口調で話し始めた。

おいおい、食べながら――じゃなかったのかよ。
という突っ込みは心に留めて続きを待ったら、紡がれたのは思いもよらない言葉で、ボクは危うく鳥そぼろを鼻息で飛ばしそうになった。


「会長、ちょっと前まで彼女がいたくせに、うぶすぎません?」

……左隣の純平が飲み物を口に含んだ瞬間でなかったことには、心の底から感謝するのみ。


なんて居たたまれない質問をするんだ。
恨めしく思い上目で美紗をひと睨みするが、彼女は全く気にすることなく美しい所作で米を口に運ぶところだった。