純平の美紗に対する気持ちをはっきりと知らされた昨日、ボクは自分で思っていたよりも動揺しなかった。


それは多分、いつも強気な純平の脅えようがあまりにもひどかったから。
ボクが支えてあげなくちゃと思ったら、冷静にならざるを得ない。


いつの間にかボクよりも背が高くなってしまった純平を抱きしめた時の感触が、ふとよみがえる。

女が男にすることじゃなかったな、と、あれから何度も思い返しては後悔した。


だけど、あの時はそれが、純平とボクとの正しい距離感だった。

彼にとって男友達のような位置付けにいるボクが、彼の震えを止てあげたいと、助けてやりたいと思った時に、ああする以上の正解があったとは、やっぱり何度考えても思えない。