このまま、純平は殺されてしまうんじゃないかと思った。
泣き続ける美紗に覆いかぶさったまま、ボクは背中の痛みを我慢して、震えながらじっと耐えた。


純平の怒鳴り声と美紗の鳴き声を聞きながら、その恐怖の時間が終わるのを、ボクはただ、じっと耐えた。


『――……もうだいじょうぶだ』


傷だらけの純平がそう言った時、気付いた。
純平も、本当は怖かったんだってことに。


目に浮かんだ涙をごまかすように、小さな彼は、傷ついた顔の血を袖でごしごしと拭った。