一抹の不安がよぎる。
何も考えていないのか入口へと続く階段を既に3段ほど登った純平が、何を今更とでも言いたげな顔で振り返った。

「さっさと来いよ、なお」

うん、コイツはやっぱり、何も考えてない。


「大丈夫よ。外見は厳ついけど、普通の図書館だから」

いや、【普通の】と言われても、そもそも図書館自体が初めてなんだけど。


通いなれた学校の図書室とは全く違う様相を成したソレは、気軽に立ち入り難い威圧的なオーラを放っているじゃないか。
全然気にしていない純平の鈍ちん加減が羨ましい。


――とは言え、ここまで来てボクだけ引き返したら、理数系の赤と春休みの補習は必至。
仕方なしに、ボクは2人の後を追った。