「じゃ、とりあえず行ってみよ」

と言ってみたは良いが。

「……で、ソレどこにあんの?」


学校から、ボクたちの家のあたりを越えて駅側に向かったどこか。
その程度にしか認識できていないことに気付き、足を止めて先頭を歩くのをやめた。


「お前、……生まれながらのここの住民とは思えねえな」

純平にさえ馬鹿にされてしまった。
だって、そんなトコ行ったことないもん。


「そういう純平は知ってるのかよ? 図書館の場所!」

「駅のほうだろ?」


……ボクと大して変わらないじゃん。
わざとらしい長いため息を吐いた美紗が、無言で先頭を歩きはじめた。