美紗があんまりちっちゃいから、ボクの方が抱きしめているみたいだ。
ふわっと髪から香ったいい匂いに誘われるように、つい鼻を寄せてしまう。


「おい、コラ」

「ぎゃっ!」

ぐいっと肩から後ろに吊り上げられるように、美紗から引き離された。
純平がフードを引っ張ったんだ。
首がしまるじゃん。


「お前ら2人だと百合じゃなくバカップルにしか見えねえから、よせ」

渋い顔でそう言った純平の顔が、心なしか赤い気がする。
確認したくてじっと見たら、目を逸らされた。


「いやねぇ、男のヤキモチは」

と美紗が口角を上げて意地悪く笑った。


……百合に見えればいいのかな。
……純平、ヤキモチ妬くのかな。