そもそも美紗の方が甘いもの好きだし、普段からお菓子作りにも勤しんでいるはずだ。
それなのに彼女の顔にこんな異物を見たことがないとはこれ、一体どうしたことか。


もう一度鏡を睨みつける。
……うん、あまりにも目立つ。
恥ずかしすぎる。


洗面台の棚から、母の所有物である化粧品やスキンケア用品を漁ってみる。
それっぽい薬になりそうな軟膏をようやく見つけて、そのニキビに塗りつけた。


その後にボクが取った手段と言えば、そのあまりにも目立つ異物に絆創膏を貼って隠すという、何とも無骨なものだった。

だがしかし、むき出しではさすがに目立ちすぎる。
ブツが見えなきゃいいんだ、見えなきゃ。


絆創膏のほうがよっぽど目立つ、ということに、ボクはまったく気づいてなかった。