「いつもの2人だよ、美紗と純平! 何変な想像してんの?」

なぁんだ、と、母は本当に残念そうに肩を落とす。

本当はもう1人いるのだけど……、それを言ったらあまりにも面倒なことになりそうだから、響先輩のことは隠した。


母さんとそういう――色恋の絡んだ話をするのは初めてで、こそばゆい。
いや、そもそもボクがずっと色恋とは無縁の生活をしていたから、話にあげようにもネタがないだけなのだが。


だけど母さんはその小さな秘密には気付かずに、気落ちした様子のまま続ける。

「お母さん、あんたと女同士のトークが出来るかと思って楽しみにしてたのに」

「……!」


――驚いた。

母さんは(父さんもだけど)男の子を欲しがっていたから。
そんな風に思っているなんて、考えたこともなかった。