……この年になって同じベッドに寝そべることを、正直に言えば意識しなかったわけじゃない。

ボクはこんなんでも一応女の子で――、純平は、男だから。


先にそれを意識したら、【負け】だと思った。
何に? ――なんて、分からないけど。


だからボクはボクの特等席に飛び込んだ、だけなのに。
純平から、そんな風に言われるなんて。


納得したのかしないのか、純平は壁際に横向きに寝そべったまま、結局また黙々と漫画を読み始めた。

何を言うでもなく。
ベッドから降りるでもなく。


漫画のページがめくられる瞬間に起こった小さな風が、ボクの右耳を掠る。


――距離が、いつもより近い。