ボクがそう告げると、母はぎょっと目を見開いて固まった。

……ボクがクッキーを作ったってのが、そんなに意外かい? 母さん。


「……部屋にいるね」

それ以上話すのがなんだか恥ずかしくなって、さっさと自室へ逃げた。


やっぱ美紗が作ったって言えば良かったか。
でも今隠したところで、結局うちで作らなきゃいけないんだから、そのうちバレる。
だったら早い方がいいだろう(今日のは成功したんだし!)


ボクがこの時すぐに逃げたりしなければ、母さんは予告してくれたに違いなくて。
そしたらボクは驚かずに済んだけど、実際には母さんの予告はなかったわけで。


だから自分の部屋のドアを開けた瞬間に

「ぎゃっ!」

ついそんな声をあげて驚いたって、文句言われる筋合いはない。


「ぎゃっとは失礼だな、オイ」