オーブンにセットして焼き上がりを待つ間、落ち着きなくリビングとキッチンを行ったり来たりするボクを美紗は笑った。


だけど、楽しみでしょうがなかったんだ。

生まれて初めて作ったクッキーはどんな風に焼き上がるのか、想像もつかないから。
オーブンに入れる直前、生地をチェックした美紗が、「うん、上出来」って言ってくれたから。


ボクがそわそわしている間に、美紗はキッチンを綺麗に片付けた。

しまった、【本番】はこれも1人でやるんだ。
そう気付いたときにはもう遅くて、ボクが改めて美紗の凄さを認識した時にオーブンが鳴り、焼き上がりを知らせた。