手順を覚えてね、と渡されたA5サイズのピンクの紙には、美紗の可愛い手書きの文字がびっしり並んでいた。
「手間はないんだけど待ち時間がかかるから、下準備は先にやっておいたわ」
『下準備』と太いペンで書かれた項目を指しながら、美紗は言った。
その項目の下に『卵とバターを室温に戻す』『オーブンを予熱する』などの小項目、さらにその項目ごとに、小さな字で注意事項が書き込んである。
美紗が作った、見やすくまとめられ簡単で分かりやすい言葉ばかりが使われた、【ボクでも出来る】レシピだ。
「……ねえちょっと待って。これ渡すってことは」
――考えてもいなかった。
「ボク、1人で作るってこと?」
これはただの練習で、【本番】では美紗がいない、なんてことは。
「手間はないんだけど待ち時間がかかるから、下準備は先にやっておいたわ」
『下準備』と太いペンで書かれた項目を指しながら、美紗は言った。
その項目の下に『卵とバターを室温に戻す』『オーブンを予熱する』などの小項目、さらにその項目ごとに、小さな字で注意事項が書き込んである。
美紗が作った、見やすくまとめられ簡単で分かりやすい言葉ばかりが使われた、【ボクでも出来る】レシピだ。
「……ねえちょっと待って。これ渡すってことは」
――考えてもいなかった。
「ボク、1人で作るってこと?」
これはただの練習で、【本番】では美紗がいない、なんてことは。