「行ってきます」
玄関のドアを開けながら中に声をかけると、「はいよー」とリビングの奥の方から母が応えた。
上を向いて、外に飛び出し――見えた空は、重たいどんよりとした曇り。
歩き出した途端に風が吹き抜け、カサカサッと音を立てて、数枚の落ち葉が舗装された道の隅っこを走って行った。
排水溝の凹凸に引っかかって、はぐれたように1枚だけ、そこに残った。
完全防寒のはずなのに、ふるりと震えが走った。
キャップをもう一度しっかりかぶり直して、耳を隠す。
大丈夫、これでもう寒くない。
風が吹いたって、全然、寒くなんかねえよ。
玄関のドアを開けながら中に声をかけると、「はいよー」とリビングの奥の方から母が応えた。
上を向いて、外に飛び出し――見えた空は、重たいどんよりとした曇り。
歩き出した途端に風が吹き抜け、カサカサッと音を立てて、数枚の落ち葉が舗装された道の隅っこを走って行った。
排水溝の凹凸に引っかかって、はぐれたように1枚だけ、そこに残った。
完全防寒のはずなのに、ふるりと震えが走った。
キャップをもう一度しっかりかぶり直して、耳を隠す。
大丈夫、これでもう寒くない。
風が吹いたって、全然、寒くなんかねえよ。