ボクの名前は【なお】。

ナオコでもナオミでもない、飾り気も工夫もないシンプルなただの【なお】。
奈央でも菜緒でもなく、直角のちょくって書いて【直】だ。


この女らしくない名前には『素直な子になれ』という願いが込められてる、と両親は言っているが、実はそこに、本当は男の子が欲しかった彼らの気持ちが隠れている事はなんとなく気付いていた。


小さい頃は、ボクを男の子と間違えてる大人たちの反応を見るのが面白くて、わざと男の子の真似をしていた。
男の子が欲しかった両親は、ボクが女の子らしくない振る舞いをしても咎めることはなかったし。


それが、いつの間にか――気付いたら、こうなってた。