「あのさ、ボク、あまりにも浮いてると思わない?」

女の子がキャッキャと賑わうその売り場で、周りより頭一つ飛びぬけてデカいボクはそれだけでも目立つのに。
一見すればボクは男だし、こんなとこにカップルでやってくるヤツもそういない。


「そんなことない。なおだって、女の子なんだから」

と、美紗は目を細める。

「女の子のイベント、一緒に楽しもうよ」

――え?


「……あのさ、美紗?」

「なあに?」

満面の笑顔で小首を傾げる美紗に、ボクは恐る恐る不安をぶつける。


「ボクが付き合うのは、買い物だけだよね」

「何言ってるの?一緒に作ろうって言ったじゃない」


ニコニコ顔の美紗から返ってきたのは、絶望的な答えだった。