そんなことを考えながらのろのろと弁当箱を片付け終えたボクに、純平の両腕が伸びてきた。
その手には、弁当を食べ始める前に汚さないようにと外していたマフラー。


「ホレ」

と、これは手渡すのではなく、首に巻いてくれる仕草だ。


「待って純平」

彼の動きを遮って、美紗が隣から手を伸ばしてボクのフードを脱がせた。
髪が短くて全く隠れない無防備なボクの耳や襟足は、外気に触れた途端に大ダメージを受けることを分かって欲しい。


「さっむッ!」

ボクが咄嗟に首を縮めるよりも前に、素早くマフラーが巻かれた。


「なおは寒がりだな」

純平が言って。

「ホントね」

美紗が笑った。