「つーか受験とか、大変な時期だったんじゃないすか? よく引き受けましたね」

と、美紗の矛先を上手くかわして、純平が話を変えた。

……さっきから、先輩がボクらとは違う3年生で、もうすぐ卒業するってことに実感が湧いてくる話ばかりだ。


「ああ、それはね、僕は結構早い内に、指定校推薦で進学先が決まってたから」

推薦。
ってことはやっぱ、頭いいのかなこの人。


「へえ、どこなんですか?」

……美紗はその質問を、多分、大して興味を持って聞いたわけではない。
話の流れとして何となく出てきた、何気ない問いかけだった。


だけど先輩は口ごもって。
4分の1ほど残っていたサンドウィッチを口に詰め込み、ゆっくりと咀嚼して飲み込んだ。


「……遠いとこ」