「えーと、なんで代理?」

「まあ、色々あって、なんとなく、ずるずると」

と、先輩はちょっとだけ笑ってから、経緯を説明してくれた。


本来なら2学期から代替わりして引退になるはずが、梶原とやらのバスケ部が試合で忙しいとのことで、交代時期をずらした。
試合の時期が終わって正式に引き継いで2か月ほどで、今度は梶原が部活中の怪我で入院して、急遽ピンチヒッターで呼び戻されたとか。


「梶原くんが表舞台に立った時期があまりにも短いから、確かにほとんど認識されてないけどね」

へえ、そんなことがあったんだ。
ボクと純平が他人事のように聞いていたら、「まったく」と美紗が怒りだした。

「全然周りに興味ないんだから、あんたたち」


そのやり取りにハハ、と笑った先輩は、やっぱりいつもよりちょっと力ない。
どうしたんだろう。