「先輩に奢られる理由もないし」

そう言って、取り出したペットボトルを美紗と純平にそれぞれ手渡す。

「これだって奢りじゃないぞ」

ちゃんと後で金払えよ、と念を押しながら。


とにかく、チャイムが鳴って他の生徒――ボクたちの誰かの追っかけに見つかる前に、一刻も早くここを立ち去りたい。


「いーけど、コーラかよ」

「は? ボクのチョイスになんか文句あんのかよ?」

「今日はフルーティな気分なの」

……なんだよ、フルーティって。
乙女か!


「コーラでいいじゃない」

と、美紗は心底どうでも良さそうで笑える。

「そんなことより早く行きましょう」

美紗に促されると、純平は口を尖らせたまま黙った。