放課後の図書室はいつものことながら人の出入りも少なく、落ち着いた時間が流れていた。


ボクは冬場の定位置である陽の当たる窓辺の席で頬杖をつきながら、窓の外をぼんやりと眺める。
ここがちょうど、グラウンドを走り回るサッカー部員たちの姿が見下ろせる席だ。


サッカー部の連中は威勢のよい声を張り上げているに違いないのだけど、窓に遮断されてそれは漠然とした音にしか聞こえず、図書室の静寂を破るには至らない――、

いや、一瞬ひと際大きな声が飛び、それだけはクリアにここまで届いた。
それが聞き慣れた友人の声であることに気付き、自然と口元が緩む。