『延長は一時間2000円だよ。』

キラがおっとりした話し方でウェイターよりも早く答えた。

このままだとラストまで1時間半。

4000円取られるかも…やっぱダメだ。

もう鏡月もないし、ボトルいれたらさらにお金かかるし、帰ろう。


お金がない訳じゃない。

でも今日は厄日だからね。



それにそんだけあったら、他店の初回に三回はいける!勿体無い!
さぁ、帰ろう。


「じゃ、延長する。」


え?

アタシ何また言っちゃってる!


どの口が言ってる!?



『場内指名はありますか?』


「…………キラ」


『え?』

キラは驚いてる。



いや、アタシもね…


ものすごく驚いてるよ…自分自身に。


ウェイターはかしこまりました、とだけ言って去っていった。


キラはアタシの隣側を指差して

『隣、いっていい?』

と聞いた。



アタシは相変わらずの無表情で頷いた。