こぶチャン、いや、その小肥り不細工は犬だと思う。

もしくはまだ新人でこの世界の厳しさを体感させられてるだけなのか…


『90分2500円、焼酎、ウィスキー飲み放題だし、もちろん割りものも飲み放題だよ!オレ、まだホスト始めて1週間の新人だから、一回もキャッチ成功しなくて……今日誰も呼べなかったら、メッチャ怒られるんだ…だから、お願い!オレを助けて。』


…………ハァ?

…………新人だから呼べない?

…………不細工こぶチャンだからじゃない?

…………“オレ”を助ける義理はアタシにないでしょ?

…………てか、この先ホスト続けたいならそんな内容、嘘でも言うなよ。

…………それで、一回でも客を呼べたら満足なの?


心まで不細工だ、コイツ。




「あんた、ホスト続けたいならそんな同情で、客とる真似止めたら?リピートにならんよ。」


こぶチャンはハッとしたように言葉を失った。
そして、今までのチャラ男を真似たような口調を止めてポツリと言った。




『そうだよな…わかってる。ありがとう。』

そう言って、こぶチャンは自分の店があるだろう方向へ歩いていこうとした。


少しは…分かってるのかな…

このままじゃダメだって事を。