彼は、クラスで

浮いた存在やった。


見た目からしてもそうやし、

何より無口で、

クラスの人と

喋っているのを、

あまり見たことがない。



彼の性格は、

皆、見た目で判断して、

誰一人として、

本当の性格を

知っている人などいなかった。

知りたがる人もいなかった。



でも、なんでやろうか。

あたしは、

そんな彼に興味を惹かれた。

まるで、

導かれるように。



彼は、

まるでそんな事、

わかりきったかのように、

その丸い瞳で

あたしを見る。




彼を見る度に、

あたしの想いは

つのっていった。



何がそんなに魅力的なのか、

自分でもわからない。


でも、あたしは、

心の奥底で、



彼に近づきたい

そばで笑い合いたい



そんな気持ちが芽生えていた、

夏休み間近の或る日。




あたしたちの、スタートの日。