バタバタバタ
「あー!やべっ遅刻だ!!」
しまった。
いつもの癖で早起きして、ついつい二度寝
をしてしまった。
……でも、おかしいな。
目覚ましはちゃんとセットしてたはずなの
だが。
まさか、忘れてたのか…………?
「弁当……はする時間ねぇな…………ってああ!!あと五分しかない!!」
バタバタバタと階段をかけ降りる。
制服に着替え(ぐしゃぐしゃだが)、歯磨きを
し、鞄を持って玄関へと出た。
「……パパー?べんとーあるよー?」
「……へ。あ、えぇ!?つ…作ったのか!?」
ドアを開けようとした瞬間、後ろから声が
した。
小さなその手には、いつも俺が持ってって
る弁当箱が。
「パパ……お勉強頑張ってねっ」
俺は小さく笑いながら、ポンポンと頭を撫
でてやった。
「ふにゅ…………ふふふ。行ってらっしゃい~!」
「行ってきます。いい子にしとけよ」
ガチャ
ドアを開けると、真冬の朝風が体を急速に
冷やし始める。
ブルルと身震いをしながら足を一歩踏み出し
た。
「パパ」…………ね。
少し熱くなった頬をネックウォーマーで隠
しながら、少し駆け足で学校へと向かっ
た。