――――とはいったが。
私は一人、教室の窓からぼんやりとグラウンドを見ていた。
グラウンドにはサッカー部がいる。背中の数字があちこちに見え、ボールが転がる。
父親はサッカーよりも野球派で、私もどちらかというとサッカーよりも野球のほうが好きだ。どちらもまあルールはよくわからないのだが。
サッカー部には、例の目でうっかりおいかけたりしてしまう坂本がいる。
広いグラウンドの何処にいるか、最初はわからない。だが、見ていると、あ、となる。あれ、坂本だ。
坂本はサッカー部である、というのが納得する顔をしている。
サッカー部、野球部……男子は顔でなんとなく、部活がわかる、気がする。あくまでも気がする、だが。
別に、恋じゃないと思う。
坂本のことは気になるものの、別に付き合いたいだなんて思わない。だって、ときめかない。それに、気になるというか、観察、なのだ。人間観察。