「考えても答えは見つかんねーよ!」
志則が顔を上げて言った。
考えてもみつからない。
頭の中に答えはないから。
教科書に載っているような、単純なものじゃない。
チャイムが響き、志則が立ち上がった。
「俺が偉そうに言えることじゃないけど、久美子ちゃんたちとちゃんと話せよ。
愛実の大切な友達だろ?」
「うん……」
暗い顔の私の頭を、志則がポンっと叩いた。
「ほら、早く教室に戻れ。
一緒にいるところ見られたくないだろ?」
志則に背中を押され、私は急いで教室に戻った。
その後授業に遅れて来た志則は、古典の先生に教科書を読まされた。