「吉田君との関係を無かったことにしたい?」



「無かったことにしたい」って言いたいのに、

理子の質問にすぐに答えられなかった。



久美子の気持ちを知ったとき、あんなに志則とのことを消したいと思ったのに

答えられない。



志則の存在が、私にとって救いだった。

どんなに汚らわしいと思っても、志則の温もりが愛おしい。




「無かったことに……したいと思えない」


止まっていた涙がまた零れ落ちた。




「愛実は吉田君のことが好きなんじゃないかな……?」


「好き……なのかな……?
わかんないよ……。
わかんなくて……苦しいよ……」



私はもう一度理子の胸で泣いた。


考えれば考えるほどわからなくなる。