コーネリアが行動に移せなかったら、後でセーファスに頼んで記憶を消してもらおう。
そう思って、コーネリアの横を通り過ぎようとすると、彼女は俺に抱きついてきた。
「コーネリア…っ!?」
これは予想外だった。
まさか…遠ざかるどころか近づいてくるなんて…
「…苦しいんでしょ、クラウス…。なら、私の血…あげるから…」
「……は?」
何言ってんの?って思った。
血に飢えているヴァンパイアにそんなこと言ったら、自殺行為にしかならない。
大体…コーネリアはヴァンパイアが憎いんじゃないの?
憎い相手が苦しんでいたら、ざまぁみろって思うでしょ。
始末するには良い機会だとか思うんじゃないの?
そう思いながら俺は理性を保ちつつ、コーネリアを引き剥がそうとする。
けど、コーネリアは中々離してくれない。