それから数ヶ月後の夜。
俺は司令官室に訪れていた。
「あんたのことだから、薄々勘付いていたでしょ」
机の上には吸血鬼討伐隊の制服や対吸血鬼用の銃、警棒など仕事に携わる物が置かれていた。
置いたのは、もちろん俺。
セーファスは机の上に置かれている物を見て苦笑する。
「…まぁ、確かにクラウスはここを辞めて命が尽きるまで自由に過ごすだろうとは思っていたよ。まさかこんな急だとは思わなかったけど」
「嘘だね。俺はこの数ヶ月間、ここを出る準備をしていた。勘の鋭いあんたが気づかないはずがない」
「…本当、可愛くないよね。そういうことにしといてよ」
可愛くなくて結構。
…というか、この歳になっても可愛さを求められるのが迷惑。
そう思っているとセーファスは椅子から立ち上がり、後ろにある窓に近づき外の景色を眺める。
窓から見た景色はきっと街のネオンで綺麗に輝いているだろう。
セーファスはふぅ…と息を吐き、俺の方へ振り向く。