そして、いつもお決まりの…。


「小春ちゃんありがとう。小春ちゃんがいてくれて良かった」


「いやいや、そんなことないよ。舞ちゃんが頑張ってたからだよ」


なんて気持ちの悪い会話なんだろうと自分でも思う。



この後の練習は課題曲の確認をパートごとに行い、一回全員で通して終わった。
私は毎年のように当たり前に一番後ろの列に立ち歌った。


練習は終わり解散となった。


「小春帰ろー」
美羽が私を呼ぶ。
家も近いこともあり登下校はいつも一緒だ。

「ちょっと待って!職員室に用事があるの!すぐ戻るから!」
私はそれだけ伝えると職員室にいる山下先生に提出するプリントを持ち廊下を走った。


セーラー服の長いスカートが邪魔でとても走りにくい。

三年五組の前を通り過ぎようとした時だった。

「玉木さん!」


私の苗字を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると隣のクラスの石原くんがいた。
以前に私のことが好きだと冷やかされていたとこを偶然通りかかった私にも冷やかしの言葉をあびせられたことがある。
悪い思い出だ。
当然石原くん自体も悪い思い出だ。