そこはとても居心地が良かった

でもそんなことよりも俺は麗を探した。

どこを見ても居なくて嘘だったのかと苛立ち始めた頃自分の後ろで聞きなれた。落ち着く…その大好きな声が聞こえた

「幸輝…?」

後ろを振り向くとそこにはあの時死んだ『麗』が立っていた

電車の中で、何を話そう…何から話そう、話したい事は沢山あった。お互いが知らない麗が居なくなってから俺達の『空白の4年間』その時あったこと全部話したかった

なのに…話したいことなんて全部忘れてしまった。ただ涙しか出てこなかった

「…ごめん」

ずっとずっと会いたかったのに

ごめん

それしか出てこなかった

すると静かに麗が口を開けた

「ねぇ…あの時、私がいったことちゃんと聞こえてた?」

「うん…ちゃんと聞こえてたよ」

「そっか…」

凄く静かに優しく微笑んだ君は今まで見た中で1番綺麗に思えた

「なあ…麗」

「ん?どうしたの?」

「俺もずっと…ずっと前から今、この瞬間も麗のことが好きだよ」

どうしたんだろう、そう思って前を見ると

麗が泣いていた

「うん…私も…大好き」

この時間が永遠になればいいと思った

だけどその時間の終わりは早かった

電車が迎えに来る

「ごめん…もう行かなきゃ」

「うん…気をつけてね」

そして俺は強く強く抱きしてた

なぜならもう一生抱きしめることが出来ないから

電車のベルが鳴り走り出す

そこにはもう麗の姿はなかった。

すると俺は恐怖心から開放されて安心してなのか、なぜだか分からないが深く瞼を閉じた