その沈黙は一瞬にも感じたけれどとても長い…長い時間だった

「それでさ…あの電車って普通に乗ればいいんだよな?」

「う、うん…」

「幸輝。お前本気なんだな?それでお前は満足するんだな?」

「あぁ…ちゃんとあって話さなきゃ絶対後悔する」

「分かった、なら俺らは何も言わないよ」

優輝のその言葉を聞いてから皆は弾けるように次々と俺に言葉をぶつけてきた

「じゃー行ってくるな!」

皆の言葉の中で1番はっきりと聞こえた言葉がある


『気を付けて…頑張って来いよ幸輝』


俺と優輝は産まれた場所も一緒、家も隣通しとずっと一緒に育ってきた

優輝は家族以上の存在。そんなあいつから『頑張れ』とか『気を付けて』なんて言われたことなかった

だから『ふぁびりてぃーout』と言うこの電車がどれだけ危険なのかが分かった

でも俺の想いは変わらなかった


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河川敷の所を少し行くと綺麗で落ち着く光に包まれていた。

そこにはもう人が少し乗っていて安心した

切符も駅もない。なのにそこには電車がある、

「行こう」 そう口に出すと自然と足が出ていた…乗り込むと

この世界とは明らかに何か違う

直感でそう思った。俺が乗り込むのを待っていたようにすぐにドアが閉まった

乗っている人の顔は見えない…けれど何か過去にあることはわかった

外の景色は宇宙の中に居るみたいだった
キラキラ光っている 綺麗だ

そんなことを考えながら外を眺めていると電車が止まった。

駅は人の名前になっていた。人が立ち降りていく…そんなことが何度か繰り返された

そしてまた電車が止まる

『荻原麗さま』(おぎはられい)

~俺は1人席を立った~