男の口調が変わった。 詩音はあまりに突然の変化に目を丸くする。 男は車いすで詩音の隣をすり抜けると、喫茶店のドアを開けた。 「君はなにか、僕に用があったんだろ?」 「……は、はい」 「だったら、入れ」 男が詩音を残して、そそくさと喫茶店の中へ入っていった。 「何なの。あの男……」