悔しい。 叶亜のように、負の感情を感じられたら、私はすこしくらいお父さんの気持ちを分かってやれたかもしれないのに。 すれ違ったまま、お父さんは死んでしまった。 「ねえ!」 詩音は叶亜の後ろ姿に呼びかけた。 車いすが止まる。