「寝てるんじゃないんですか?」

詩音が言うと、瑠花が首を横に振った。

「この時間になると、旦那様は毎日夜の散歩に出かけるんです……。一日も欠かしたことはありません」

頑固な父だ。

日課を今日だけ欠かす訳がない。

何かあったんじゃ……。

詩音の胸を嫌な予感が渦巻く。