自分の大好きな母親が父親ではない人と、浮気しているのだ。 普通なら「なんで?」とか「嘘でしょ」とか思うのだろうが、詩音はなぜかそうは思わなかった。 叶亜に言ったら「やっぱりバカだな」とでも言われるのだろうか。 だが、そう言われた方がなんだか安心するような気がする。 「はやく帰ってきてよねー。どこほっつき歩いてるのか……」 詩音がベッドに置いてあったクマのぬいぐるみを殴っていると何か気配を感じた。