友美は悔しそうに女性の後ろ姿をみつめてから廊下を引き返し、2階へ続く階段を上っていった。 「……瑠花さん。あの女性は?」 詩音が聞くと瑠花が神妙な顔つきで答えた。 「……旦那様の愛人である、飯田愛子(いいだあいこ)様です。度々、屋敷に顔を出しておりまして……」 「なるほど。旦那さんはあの女性に遺産をやろうとしてるんですね」 何がおかしいのか、叶亜が口元を手で抑えながら納得したように言った。